ブランディングデザインの教科書

ブランディングデザインの教科書

著者:西澤 明洋

※株式会社エイトブランディングデザイン代表

 

初版発行: 2020年12月4日

発行元:株式会社 バイ インターナショナル

 

 

※西澤氏が講師を務めるSchoo 「できる!デザイン経営塾」がとても分かりやすい。

  Schoo 「できる!デザイン経営塾」https://schoo.jp/class/6972 

  

<ガイヨウ◎ ,マナビ※

 

◎ ブランディングとは、「差異化」である。「差異化」に寄与する価値すなわち「他と異なる本当の価値」を見つけ出し、これを正しく伝えることで、企業に競争力が生まれる。マーケティングが「売るゲーム」であれば、ブランディングは「伝言ゲーム」である。「伝言ゲーム」をはじめる最初のプレイヤー(経営者等)の「熱い思い」は、コンセプトとして短い言葉で表現される。コンセプトは、ブランディングの過程で生じる様々な課題を解決するための判断基準となる。当然ながらコンセプトが反映された「良いモノ」しかブランドになれない。

 

※ 小規模企業や個人事業主の多くは、「売るゲーム」で精一杯であり、ブランディングを考える余裕がない。必要性を感じていても、「伝言ゲーム」は後回しにしているのが現実である。一方、ブランドを保護する商標権の重要性については、特許庁の頑張りもあって広く認識されつつある。近年、特許庁に出願される商標登録出願の数は増加傾向にある。ブランディングへの取り組みを促すためには、商標権に絡めてブランディングを啓蒙することが効果的と思われる。啓蒙活動の入口に立つ弁理士には、デザイン経営リテラシーが求められる。

 

◎ 経営者の思考を顧客に正しく伝えるためには、M(マネジメント)→C(コンテンツ)→C(コミュニケーション)の流れに、一定の方向性をつくり出す必要がある。そのための活動がブランディングディレクションである。また、C(コンテンツ)やC(コミュニケーション)についても、一定の方向性をつくり出す必要がある。そのための活動がデザインディレクションである。例えば、C(コンテンツ)における「モノ」と「サービス」の統一感や、C(コミュニケーション)における「パッケージ」と「広告」の統一感は、デザインディレクションによってつくり出される。西澤氏が提唱する「ブランディングデザインの3階層(登録商標)」を用いれば、C,Cのそれぞれをデザインディレクション(横串)で統一する概念や、M,C,Cの全体をブランディングディレクション(縦串)で統一する概念を理解し易い。

 

※ ブランディングディレクションを支えるブランド名やロゴ(商標)は、商標権で保護され、デザインディレクションを支えるデザイン(意匠)は、意匠権で保護される。ブランディングにおいて、商標権および意匠権などの知的財産権の管理は必須事項である。知的財産権をどのように管理するかは、企業における知的財産活動の問題であり、ブランディングと知的財産活動とは、表裏一体の関係にある。

  

◎ 西澤氏は、ブランディングデザインの開発プロセスを理解するためのフレームワーク(framework)として「フォーカス RPCD(登録商標)」を提唱する。R・P・C・Dは、リサーチ・プラン・コンセプト・デザインを意味している。「フォーカス RPCDを示す図(登録商標)」では、R・P・C・Dの中心にフォーカスが置かれている。フォーカスを通して伝えるべき内容を常にチェックするためである。R・P・C・Dは、ほぼこの順に実行され、DからRに進んで螺旋階段を上るように繰り返される。経営環境は常に変化するため、ブランドの地位を保つためには、ブランドも変化(成長)させる必要がある。

 

※ ブランドの成長過程では、新しいブランド名・デザインが生まれるが、これらも、商標権・意匠権で保護する必要がある。事業規模の拡大に伴って、知的財産権の数が多くなれば、その分、管理負担も増大する。知的財産権の管理には、専門知識が必要なため、早い段階から担当者を育成しておくことが望ましい。管理ミスによる商標権の消滅は、ブランドを失うことを意味する。また、「コンプライアンス(法令遵守)」はブランディングに限らず、企業の社会的責任である。 

 

◎ R(リサーチ)では、会社の強み・弱みをチームメンバーの全員で確認し、共有する。本当の強みだけにフォーカスする。P(プラン)では、経営戦略のデザイン(ポジショニングなど)を考える。C(コンセプト)は、ブランドで一番大事な考え方である。様々な課題を解決するときの判断基準となる。コンセプトと一緒にブランド名を考え、商標権を取得する。D(デザイン)では、「かたち」としてのブランドのデザインを考える。

 

※ 知的財産活動の視点から見たとき、フォーカスポイントに「知的財産権」を置くことが考えられる。つまり、「商標権を取得していないブランド名は使用しない」、「意匠権を取得していないデザインは採用しない」といったように、本当の強みになる「かたち」を知的財産権で絞り込むこともブランド力を高める上で効果的だと思われる。

 

 なお、「知的財産権」とは、「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権、その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利」をいう(知的財産基本法第2条第2項)。

 

<西澤氏のオススメ>

 

・「ブランドをデザインする」 西澤 明洋

・「代謝建築論 か・かた・かたち」 菊竹 清訓 

・価値創造する美的経営―PAOS流CI・起業と蘇業の哲学 中西 元男 

・コーポレート・アイデンティティ戦略―デザインが企業経営を変える 中西 元男 

・アイデアのつくり方 ジェームス W.ヤング , 竹内 均他

・ブランドのはじめかた 中川 淳 、 西澤 明洋 

・ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books) 楠木 建 

・知識創造の方法論 野中 郁次郎 、 紺野 登 

・構想力の方法論 紺野 登 、 野中 郁次郎 

・アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング 西澤 明洋

・世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」  山口 周

 

特許出願等統計速報 特許庁
特許出願等統計速報 特許庁

<チザイ>

 

◎ 商標登録出願の審査着手までの待ち期間は、現在、8か月~13か月程度である。一定の要件を満たせば短縮されることはあるが、それでも権利取得まで最短3か月程度はかかる。できるだけ早い段階で商標を決定して、商標権を取得する必要がある。商標権を取得できなければ、他社による模倣商標の使用を排除できないため、ブランドは育たない。

 

商標審査着手状況(特許庁)https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html

 

◎ 商工会議所などで開催される創業塾では、事業計画書の作り方などが教えられるが、商標権を取得することの重要性は教えられない。他でも教えられる機会は少ない。講師である経営の専門家が知的財産権の知識を持たないことが原因と考えられる。そのため、新規創業者が開業直後に商標権侵害で警告を受けるケースが少なくない。看板、メニュー表、カタログ、名刺、制服およびホームページなどに使用されている商標を全て変更するとなると、数百万円が無駄になることがある。侵害している事実に気づかないまま事業を拡大した場合には、築き上げた信用が大きくなることから、商標の変更による損害はより深刻なものになる。早い段階での警告は、良心的とも言える。

 

◎ 注意すべきは、商標権だけではない。商品のデザインは意匠権の保護対象となり、商品の機能は特許権・実用新案権の保護対象となる。自社の商品がこれらの権利を侵害していれば、損害賠償や販売差止めを請求されるだけでなく、ブランドの信用を大きく損なうことになる。そのため、商品開発の早い段階で、他人の商標権、意匠権、特許権、実用新案権を調査し、さらに、不正競争を回避するための調査や、著作権の調査をする必要がある。

 

◎ 意匠権、特許権、実用新案権・著作権および不正競争(商品形態模倣)は、創作を保護する権利・制度であり、これらを横断的に調査することが望ましい。例えば、デザインに関して特許事務所に調査を依頼するとき、「意匠権の調査をお願いします!」では不十分である。特許権、実用新案権・著作権および不正競争(商品形態模倣)にも配慮する必要がある。商標権および不正競争(周知表示混同惹起行為など)は、業務上の信用を保護する権利・制度であり、これらを横断的に調査することが望ましい。例えば、他人の著名な商標が商標登録されていないとき、商標権侵害は成立しないが、これを無断で使用すると、不正競争になる(不正競争防止法2条1項1,2号)。

 

◎ 自社で知的財産権を取得すれば、侵害品でないことを客観的に証明できるので、ブランド価値の向上に役立つ。以下の動画では、株式会社晃祐堂の知的財産戦略が紹介されている。3:00/7:47 あたりからブランド戦略の説明が始まる。 

 

「もうけの花道/もうけの羅針盤/デザインで加速する海外への知財戦略」

 経済産業省 中国経済産業局 中国地域知的財産戦略本部

https://www.chugoku.meti.go.jp/ip/contents/10/index.html 

 

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